貴方に会えて幸せだと、
何度思った事だろう。
『ささいなシアワセ』
いつものようにあたしはタカオの家に行く。
そこではいつものように皆がベイの練習をしているから。
最近はトレーニングメニューを作ったりして皆の側にいるけれど、
でもやっぱりあたしが一番ここに居たい理由は………
「はい、カイの分のお茶」
「ああ」
素っ気ないけれど素直に受け取ってくれる。
カイはあたしの彼氏。
だからここにいつも来るのだけれど…。
「ベイ、調子よかったわね。カイも、皆も」
「ああ」
お茶を飲み終えてコップを傍らに置くカイの隣に、あたしは腰掛けた。
カイの横顔を眺めれば、薄い灰色がかった瞳が見えた。
相変わらずの端正な顔立ちにいつも見とれてしまう。
惚れた弱み、っていうのか分からない。
でもあたしがカイを好きって事実には変わりはないわけで……。
「ね、カイ」
「なんだ」
「今日の分の練習終ったら、二人で散歩でもしてこない?」
「…いきなりだな」
「いいでしょ別に」
なんとなくそうしたくなったの。
それをあなたに言ったら笑われるかしら?
「しかし……そうだな」
「え?」
「悪くない」
少しして、やっと、意味を理解できた。
「約束よ」
彼に向けてめいっぱいに笑顔を見せる。
ほんの少し、カイの口元が笑った。
あたしはそれを見るとカイの体にもたれかかった。
遠回しでしか言えない少し不器用な人。
でもそんな人にあたしは惚れてる。
「大好きよ、カイ」
小さく呟いた。
彼に聞こえただろうか、今の言葉は?
返事なんて期待してないけれど、聞こえていないならそれでもいい。……だって、少し恥ずかしかったから。
少し熱を帯びた頬を冷やすように目を閉じて、空を仰いだ。
不意に、カイの腕があたしを抱きしめた。
強く、でも優しく。
彼らしい、無言の愛情表現。
あたしはそれを受け入れて、そして彼の温もりを感じた。
こうしてあなたに触れられるだけでも、あたしにとっては幸せよ。
日常の中にある、ほんの小さな幸せ。
これからも、小さくてもいいから幸せを見つけていけますように……――――――
青い空に、願いましょう。
〜fin〜
すいません、長すぎですね……;
初投稿がこんなヘボい物ですみません(土下座)