何をするわけじゃなくても
こんなに愛しい時間が ほら
今ここに流れているよ

 

また あした

 

時は冬の夕暮れ。
場所は水原家前にて。
「マーックスっ♪」
「わっ!ど、どうしたノ、ヒロミちゃん?」
後ろから突然抱きつかれたマックスは驚きつつ、ヒロミを振り返る。
「あのね……はい、これ」
パッと離れたヒロミがマックスに差し出したのは水色の紙と緑のリボンで包装された小さな包み。
「? これ、何?」
「いいからどうぞ。開けていいからね」
「?」
不思議に思いつつ受け取り、中を開けてみる。
中から出てきたのはヒロミの髪と同じ茶色の手袋。
手作りなのだろう。少し不恰好な網目模様からそれが伺える。
「Wao!これ、ボクに?」
「うん。その…、編物、あんまり得意じゃなくて…でも一生懸命編んだから……」
「だから、その…よければ…」といつもは強気な彼女の顔が赤く染まってもじもじし出す。
マックスはそんなヒロミの様子に愛しさを感じた。
同時に、ヒロミの手作りだという手袋を貰えた事がとても嬉しく思った。
茶色の手袋を握りしめ、いつものニッコリ笑顔でヒロミに話しかける。
「ありがとう、とっても嬉しいよ!大切に使うネー」
マックスの言葉に途端にパアッとヒロミの表情に華が咲く。
「うんっ!受け取ってくれてありがとう!」
「どういたしまして」
言葉を返しながら、マックスは頭の中でお礼をどうしようか悩んだ。
どうしようネ…。何がいいカナ?冬だし、何かしてあげられる事ないカナ?
うーん、と唸ってしまった。
幸いにも唸り声はヒロミに届かなかったらしい。
可愛らしく小首をかしげてヒロミはマックスを見ていた。
白い息が彼女の口から吐き出されるのを見て、マックスはお礼が決まった。
ぎゅうっと彼女に抱きついて頬にキスした。
一度引いたはずの顔の赤みがまた差していくのがヒロミ自身分かった。
突然何?!
と、そう叫びたかったが虚しくも口をパクパクさせるだけで終ってしまう。
そんな驚きなど予想しているようで、マックスはケラケラ笑いながら口を開いた。
「手袋のお礼ダヨv」
かあーーーーっと耳まで真っ赤になる。
その様子にマックスはまた笑った。
カア…、カア…と鳴くカラスの声にマックスとヒロミは空を見上げた。
「あ、もう日が暮れるネ。そろそろ家に帰る?」
「……っ……もう!」
なんだかはぐらかされたような気がして、ヒロミは膨れてしまったがどうしても怒るに怒れない。
一つ、白い息を吐き出して。
「じゃ、また明日ね」
「うん、また あしたv」
サヨナラと手を振って帰っていくヒロミを自分もまた見送りながら手を振り返していると、不意に横に伸びる二つの影が目に入った。
一つは自分。もう一つは彼女の。
マックスはヒロミから貰った茶色の手袋を手にはめながらふと思った。

ずっと一緒に、いれたらイイネ。

夕焼け空を見つめながら目を細め、優しく微笑う。
手袋からの温もりが暖かかった。

 

こんな平凡な「当たり前」な日常を、
ずっと大事に、出来たらイイネ。

 

〜fin〜


…すいません、某アーティストの歌がこの二人にピッタリすぎだったので使いました(殴)
終わりらへんがおかしくなりました…すいません(二度目)
…片想いは、アリでしょうか?いえ、これは両想いとも片想いともとれる気がしたので…。

お目汚しすみませんでした!(脱走)






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