first

 

「こんにちは」
初めて会った貴方にそう言ってもらえた時、
ここにいてもいいんだ、そう思えました。

マチルダはバルテズソルダ最後の一人のブレーダーだった。
知っている人は一人もいない、自分をこの場所に連れてきた恐ろしいバルテズ監督を除けば・・・。
「(あたし・・・、大丈夫なのかな?)」
マチルダは不安な気持ちを隠せなかった。元々、マチルダはどちらかというと内気な性格で人とうち解けるのが苦手な方だった。
やがてバルテズは彼女をある部屋に招き入れた。
特に目立った物のない簡素な部屋。いたのは三人の少年達だった。
「背筋をもっと伸ばせ!気をつけ!!」
バルテズの言葉に少年達は一斉に列を正し、胸を張った。マチルダはその迫力に思わずすくみ上がってしまった。
「これから我がバルテズソルダの一員となるマチルダだ。三日間の内にしっかり教育しておけ!」
「はいっ!バルテズ監督」
「よし!私は先に戻る。後は頼んだぞ」
バルテズが出ていった後、マチルダは呆然とバルテズが閉めたドアを見つめた。
「(・・・自己紹介も出来なかった)」
マチルダはほっとため息を吐いた。さっきの少年達の態度といい、バルテズ監督の命令的な口調といい、まったく人としてのコミュニケーションが存在しなかった。
自分もいずれ、ああなってしまうのだろうか?そういう不安がマチルダの脳裏をよぎる。
「キミ」
「えっ?」
声を掛けられたマチルダが振り返ると少年の一人、ちょうどさっきバルテズ監督の前に立っていた少年が今はマチルダの前に立っていた。
「こんにちは、はじめまして。マチルダ。俺はミハエルだ」
ミハエルと名乗った少年は初めて口を開くとにっこりと微笑んだ。
さっきとはまったく違う、優しい表情だった。
マチルダも微笑み返すとゆっくりと口を開いた。
「こちらこそ、よろしくね。ミハエル」

「マチルダ、どうした?」
ミハエルの声に我に返ったマチルダは慌てて辺りを見渡した。
目の前には心配そうに自分を見つめているミハエルの姿がある。
マチルダは柔らかく微笑んだ。
「ミハエル、あたし貴方に会えてよかった」

 

end.


ミハ&マチ小説でした。
新BBSに変わっていたので『初めまして』ネタで書かせていただきました。
あの二人のファーストコンタクトはこうであって欲しいと思っております。(はにかみ)
それでは、今後ともよろしくです。“再見”






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