ジャスミン

 

昼なお暗い廃工場。その中で、怪しく湯気を立てて大鍋の中でかき回されている茶色の液体。
そう、今行われているのは魔法薬作り・・・

「きゃああああ!!大変!沸騰しちゃう!!」
マリアムがそう叫んだ瞬間、鍋の中の液体が噴出して辺りに液体の正体、チョコレートが四方八方に飛び散った。
そう、魔法薬作り以外の何ものではなく見えなかったこれは実はチョコレート作りだったのだ。
「あ〜ぁ、またアネキ失敗しちゃった。やっぱ普段ちゃんと作り方習わないとダメだね」
「お黙り!ユスフ!」
マリアムがチョコレートを刻むべく取り出した出刃包丁(!)でユスフの薄ら笑いが消えた。マリアムは必死なのだ。
「やめとけマリアム。どーせおまえの作ったものなんか誰も受け取りゃしねぇよ・・・」
ドゥンガがそういった瞬間。
−ザクッ!!!
包丁がドゥンガの頭に命中。(良い子は真似しちゃいけません)マリアムの目には涙が滲んでいた。
「・・・うるさい」

その夜。
オズマが廃工場に帰ってくるとみんなは既に眠っていた。こんな事は日常茶飯事。オズマも気には止めない。
「・・・ん?」
オズマは微かにした花の香りに気がついて奥の部屋に向かう。
まるで気分が落ち着く安らかな香り、果たしてオズマはその香りの元を見つけた。
「マリアム・・・」
眠っているマリアムの側に紅茶の缶が放置されていた。
それと包装された包みにガナッシュ(紅茶風味の柔らかいチョコ)の作り方の本が置いてある。
「・・・無理して作らなくても、良かったのに」
オズマはそっとマリアムの前髪を撫でた。するとジャスミンティーの香りが優しく香る。
オズマはチョコレートの包みを取るとマリアムにローブを掛けながら言った。
「ありがとう、マリアム」

この後、眠っているマリアムにキスをした王子様のことはオズマだけの秘密。

 


オズ&マリ小説でした。
普段はクールな二人にバレンタインネタはあんまり似合いませんでした。
特に最後のオズマの行動はゲロ甘の決定打かと・・・。
本当にごめんなさい!!!






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